お読みくださる皆さまへ:

このブログでは、
1.おもに日本語で手に入る資料だけでも
2.視点を変えることで
時代が求めるものを理解し、時代の大転換期である今の世界で、
問題山積みの日本はどうしたらいいかを、考えていきたいと思います。

■視点の転換

視点の転換でもっとも有名なのは、ジョン・F・ケネディの第35代アメリカ大統領就任演説(1961)の次の一節でしょう。

米国民の同胞の皆さん、あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。あなたがあなたの
国のために何ができるかを問うてほしい。
世界の市民同胞の皆さん、米国があなたのために何をするかを問うのではなく、われわれが人類の自由のため  に、一緒に何ができるかを問うてほしい。

全くその通り。でも誰も最良のタイミングでこのようにズバリと言ってくれなかった。まさに眼からうろこ。これをきっかけにケネデイのスピーチライターであったソレンセンが注目を浴びたのもうなずけます。

この視点の転換は、組織とのかかわりでも重要な役割を果たすと言えます。たまに企業の新入社員教育を頼まれて行くと、新入社員はまだ会社が何をやってくれるか問うている段階だとわかります。
この人たちにわずかな給料、ボーナスでも世界市場でもうけるのがいかに大変か、そして自分が会社に対して何ができるか真剣に考えないと、大企業でも10年後にどうなるかわからないと徹底的なリアリズムに直面してもらうのが、グローバルビジネス研修の本当の目的だと思います。視点が当事者意識へといざなうのですね。
今ではグローバル時代のバイブルになっているトーマス・フリードマン(ピュリツアー賞3度受賞した米国のジャーナリスト)の『フラット化する世界』を2005年頃NYで初めて読んだときの衝撃。
私だけではなく、まるで米国中の人たちが2メートル以下の眼線を持ちながら、世界のサプライチェーンを駆けめぐって地球を初めて丸ごと眺めおろしたような感覚にとらわれたのだと思います。その頃日本人はまだ“失われた20年”の暗黒の中にいたのですが・・
このブログは、日本人にとってどうしても喫緊に必要な視点の転換についてです。が、その前に今年米国が(やっと)対中国観を180度変えたことが、いかに日本にとってラッキーかということを、皆さんと考えたいと思います。

2014年11月、北京でAPECが開かれた時、私は習近平の態度が歴代の中国国家主席の”本当に実力を蓄積するまでは能力を隠す“とガラッと変わっていることに気がつきました。権力を見せつけている・・・

すぐに中国の動きを”陸” ”海””サイバー空間” ”宇宙”からあぶり出すニュースに基づく図を作り、毎週中国についての新しい情報を加えていきました。すると浮かび上がったのは、長期にわたり緻密な構想で段階的に制覇を目ざす、今まで見たこともない巨大スケールの共産党政権による国家覇権戦略でした。
4つの領域に分けて最大規模でニュースを追跡して行ったので、”一帯一路”が単なる広域経済圏の構築ではない、と非常に早い段階で確信できたのです。今、安倍政権が”一帯一路”に協力しない限り良好な日中関係は築けないという理解のもとに、日本としてどのように“一帯一路”に協力すべきか態度を決めなければならなくなっています。

日本が今後中国とどう付き合うかは、宇宙から地球を見る視点を持って、中国が緻密に計画している宇宙戦争を視野に入れて決めなければいけないだろうと、私は思っています。
話を元に戻しますと、中国の国家戦略の全貌を捉え戦慄した2015年春のこと、その全貌を暴露したドキュメンタリーがワシントンD.C.で出版されたと知りました。

長年トップクラスの対中国軍事評論家として米国政府のアジア政策にたずさわってきたマイケル・ピルズベリーによる『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』です。秋に日経BPから邦訳が出たのですが、それが待てず原書を買いました。

米国は長らく、脆弱な中国を助けてやれば、中国はやがて民主的で平和的な大国になる、という仮説を
立てそれを信じてきた。しかし、米国は完全に中国に騙されていた。

というのがピルズベリーの告白です。なぜなら、中国の真の狙いは、建国100年目の2049年までに米国にとって代わって世界の頂点に立つことだ、と暴露したのです。

この本はとりわけ当時のオバマ政権に衝撃を与えたと言われました。それは米国人が“だまされる”ことにことさら嫌悪感を感じるし、自分たちが打ち負かされるという自国の安全保障に関することには炎上しやすい民族だからです。

中国政府に騙されてきたのは、日本人も同じです。大いに援助してきたのに「仮想敵国」だと言われ、尖閣諸島も沖縄も日本の領土にあらずと言われています。米国で暮らしていた25年間に、米国の政治家や学者、金融街の大物が「私はこれまで考え違いをしていた」と社会に向かって間違いをはっきり認め、方向転換を宣言するのをしばしば聞きました。そしてそういう態度を米国人だけでなく、私も好ましく思っています。

とにかく、『China 2049』 が米国人の鼻面に“事実”を叩きつけたのに、米国の中国に対する好意的な態度はすぐには変わりませんでした。トランプ大統領が就任しても一家で中国とビジネスをしている有様だったのです。その間、中国による日本への脅威はエスカレートし、私の危機感は平和ボケの人たちを叩き起こしたいほどになりました。
日本が単独で戦わなければならないと、勝ち目がないからです。

ところが『China 2049』から3年半たった今年、トランプ
大統領を頂点として共和党も民主党もオールUSで「反中国」
と化したのです。米国は、なぜ対中国観をついに180度変えたのでしょうか?

①『China 2049』 のような、CIAでも働いたことがある米国を代表する対中防衛戦略家のち密な調査研究と率直な政策まちがい宣言を基盤に多くのシンクタンクが絶えず調査研究を発表する環境
②トランプ大統領の周りを囲む米中貿易戦争の強硬路線派(ナバロ、ロス、ライトハイザーetc.)
③そして何よりも「中国製造2025」のように習近平が米国の知的財産を不当に奪ってテクノロジーの世界の覇者になる野心をあらわにしたこと

④中国IT企業の製品が安全保障上危険だという認識。つまり相手を敵であるとみなすととことん攻撃をするトランプ大統領の性向にうまく火をつけたのだと言えます。

いずれにしても日本にとっては、神風が吹いたようなもの。
日本はこの機に国際情勢を猛勉強し、日本独自のソフトパワー(=教育の力)ではやく自前の国家戦略を考える必要があると思いませんか?

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