2017年12月5日
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┃■┃■┃ 渥美育子オフィシャルメールマガジン  No.11   ┃■┃■┃

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みなさん、こんにちは。

お店にはすでにクリスマスツリーが飾られ、おせち料理の予約を促す広告があちこちに。一見毎年見慣れた12月の風景ですが、大変な計画がすすんでいるようです。10月の共産党大会を終えた習近平総書記率いる中国政府のリーダーたちが、2049年の“中華民族による人類運命共同体の構築”めざして脱兎のように行動を開始しているのです。

ああ、この際限ない、ますます悪化していく中国の脅威から逃れたい。そう思うのですが、10年以内に日本を中国のものにする決意が具体的に書かれた高官からの直々の手紙や、「産経新聞」が11月18日に第一面ですっぱ抜いた「台湾侵攻2020年までに準備」という米国で出版されセンセーションを起こした本について知らせる記事、そして29日に出た中国政府のトップが東欧16ケ国を中国の資金で統率するため首脳会議を開いたというニュースを読むと、あまりにも中国がスピーディーに勢力拡大しているのがわかり、打つ手がないと気がめいってしまいます。(いつもの通りですが、日本人の多くがこういった危機にまったく気づかないか、一党独裁の国はいずれ失敗するからと楽観をきめこんでいるかのいずれかなのです。)

しかし、中国問題を正面から取り上げた講演会を終えたところですから、今号はちがうテーマも扱いたいと思います。そこで

(1)なぜ、日本はデジタルネットワーク時代に世界の孤児になるのか?

(2)「日本の選択」講演会におけるコメントの要旨・・・・田中栄一氏

(3)学校の現場から:全国で初めて。駒込学園における公立・私立学校長のコラボによる「未来型 中高一貫教育シンポジウム」

(4)ご意見・ご感想の掲載
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┃▼┃(1)なぜ、日本はデジタルネットワーク時代に世界の孤児になるのか?

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1.「冷戦体制崩壊から25年、世界は多極化し流動化している。その極の1つが日本。しかし、日本から世界に発信する力は先進国中一番弱い。」そんな指摘を読んだのは今年の春、ある週刊誌上でのエマニュエル・トッドと池上彰氏の対談上であった。
私自身がこれを痛烈に体験している。25年間ほとんど毎日、米国、東南アジア発、英語で世界のあちこちにいる人たちとコミュニケーションをとりながらビジネスを進めていた。グローバルビジネスを行っていると、24時間世界のどこかの人が目覚めて仕事をしていることが実感できる。
ところが日本に帰った途端、メールは全部日本語になり、メールで深い議論をする人がいないため、量は減り、仲間との表層的なものになった。

2.今年の9月、グローバルジャパン研究会でキヤノングローバル戦略研究所の栗原潤研究主幹がプレゼンされた資料によると、このグローバルデジタルネットワークの時代に日本のネットワーク構築・活用能力は世界の総合24位、とくに人的ネットワーク、交流は81位だという。
世界のトップクラスの大学に留学する日本人の数が極端にすくなくなったという警鐘がよく発せられるが、その理由は若者たちが内向きになったということだけではなく、日本が21世紀の主要通信手段により地球そのものがデジタル生態系化するなかで、世界につながるネットワークから日々取り残されていると
いう現実を反映しているのではないか。

3.地球レベルのデジタルネットワーク時代に孤児になることは、世界のニュースを毎日読む習慣のなさと相まって、多くの日本人にどういう弊害をもたらすのか? 日本固有の価値で世界を救えるとか、戦わず勝つことが自分の理想だとか、日本の技術はまだまだすごい、他国はそれをほしくてしかたがないとか、日本人がいかに魅力的な民族であるか気づいていないのは日本人だけだとか、日本優位の価値観が拡大して、井の中の蛙になっていることだ。現実にはアフリカ諸国を取り込んでインフラ作りを進め、毎日アフリカ人にTV番組を
提供して、日本的価値どころか中国は偉大だという情報を流しているのは中国。日本に三戦を仕掛け、戦わずに勝ちつつあるのは中国。日本の技術を超えつつあるのが中国。
今世紀半ばをゴールに、人類運命共同体構築をめざし突っ走っているのが中国なのだ。自国の姿を客観的に見る能力を身につけるには、義務教育にグローバル教育を導入し、世界を正しく見る“遠近法”を持たせるしかない。

4.わずかながら光が見える分野もある。ここ10年で人間関係にとらわれず、事実や真実を明言するリーガルコード型の発想の本や記事が日本人によって書かれはじめたこと。『言ってはいけない』『知ってはいけない』といったタイトルで、これまで国民に知らされなかった事実を明らかにする本。有森隆氏の『海外大型M&A大失敗の内幕』(さくら舎、2015)のように有名企業の大失敗を誰がトップの時、どれだけの損失をどういう理由で出したか実名で検証する本の出版。(この本については調査不足という非難の声も強い)「産経新聞」によく掲載される論説委員署名入りの記事や石平氏のように日本に帰化した中国人による本音レベルの警告。「日経新聞」が買収したフィナンシャルタイム誌の分野別コメンテーターの事実を抉り出す世界レベルの分析記事。
事実を事実として白日の下にさらす意見や論評が[正論」として受け止められ、誰かを傷つけるのではないか、批判を浴びるのではないかという人間関係中心のマインドセットをすこし縮小させれば、日本人も英語で表現しやすくなり、デジタルネットワーク時代の世界標準の発信に一歩近づけるのではないか。

5.トランプ米国大統領のツイッターは、政権だけではなく世界を混乱させると非難ごうごうであるが、逆に他人がどう受け止めるかばかり気にする日本人のコミュニケーションスタイルは、世界に伝わりにくいばかりか、日本人にも伝わりにくい。グローバルには説得力を持ちにくい。
ちなみに栗原氏の目からうろこのプレゼンの題は、日本語では「―私見―米中のはざまで期待が高まる日本の賢慮。」英語ではWanted:JudiciousConsideration amidst U.S.-China Rivalry。一体なぜこんなわかりにくい
題をつけるのか? 日本はデジタルネットワーク時代の世界の孤児になっている、とはっきり価値の軸に足を下ろしたメッセージを投げかけた方がわかりやすいのではないか?

6.日本人はリーガルコード型のはっきりしたメッセージをうけとるとすぐに自分中心の人間関係に結びつけて解釈し、被害者になる。そんな必要はない。
いつも世界全体としっかり向き合っていると、事実の確認、その裏にある意味の追求のほうが人類の歴史の方向を間違えないためにずっと重要だ、ということがわかる。

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┃▼┃(2)「日本の選択」講演会におけるコメントの要旨・・・田中栄一氏

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10月31日の講演会『日本の選択』で、山下浩二氏と渥美の講演に対して田中氏が行ったコメントの要旨。(一部、特に(  )部分は、明確化のために補筆した。)

1.中国の台頭、米国の覇権の衰退で彩られる厳しい世界環境の中で、「日本がいかに生き抜く活路を見出すのか?」は難しいテーマである。日本は国際的なプレゼンスから見れば、軍事力、金融覇権の力もそれほど大きくはなく、経済力も相対的なウエイトを低下させつつある。ゆえに、大国を目指すのではなく、「小さくても存在感のある国」を目指すのであろう。

2.そういう意味で、私は、3つのことを強調しておきたい。一つ目は、「知恵を絞って守りを固める」という点である。山下先生からは、海の守りの重要性、離島や国土の守りについてご発言があった。渥美先生からは、戦争の概念が、従来の陸海空からサイバー空間、宇宙空間にまで拡張していること、また、非軍事の三戦についても言及があった。三戦について補足すると、自国を有利に導くために、相手国の心理や世論に働きかけて誘導する心理戦・世論戦や自国に有利になるように法律制定、法解釈を先駆けて確立してしまう法律戦のことであり、2003年に中国人民解放軍の正式任務に追加された。故、私たちは日々知らずのうちにその攻勢を受けているはずでこの面での守りには留意が必要。

3.以上、守りを固める重要性をまず指摘したうえで、日本の存在感を示すための2つの力を指摘したい。
「技術の力」と「日本のソフトパワー(価値観)」である。
中国は、先の共産党大会で「2020年~2035年」を「技術革新の大国」を目指す時期と位置付けた。中国は、今、喉から手が出るほど日本の技術を欲している。「工夫」を凝らすことが前提となるが、山下先生もご示唆されたとおり、技術は梃子として活用できることを確認しておきたい。「工夫」というのは、日本は技術を縦に深堀していくことは得意だが、それを世界のマーケットに横展開していく力が弱い。「技術で勝ってビジネスに負ける」事態が続出しており、縦深堀と横展開のバランスを意識する必要がある、という意味である。

4.さて、3つ目は、「日本のソフトパワー」である。(世界を牽引していくには、軍事力、経済力、金融覇権力のほかに、人類をより高みに導く旗印、即ち、価値観が必要である。いわゆるソフトパワーである。残念ながら、今の中国に、そういう意味でのソフトパワーは見いだせないし、欧米の「自由」と「平等」も実態との乖離が拡大し、色あせてきている。)注)補筆した。
そこで、日本は未来に向けて、新しいソフトパワー、価値観を提唱することで、世界に貢献できるのではないか、と申し上げたい。この日本のソフトパワーは、基礎は古来より日本人が大切にしてきた、「調和」・「平和」・「共生」・「霊性」などといった価値観である。
だが、先ほど技術力について触れたのと同じことに留意する必要がある。これら日本の価値観を縦に深く探求していくだけでは力としては弱いという点である。
渥美先生がよく強調されているように、世界に通用する論理、ロジックや倫理基準、法体系やルールに置き換えて世界に、延いては宇宙に、横展開していくことにもっとエネルギーを使う必要がある。分かりやすく言えば、いわゆる、モラルコードとリーガルコードの統合を進める必要があるということである。
そうすれば、日本は、大きな存在感を(覇権の追及とは全く異なった意味で)発揮できるのではないか。

5.そのためには、この場におられる「有意の人」である皆さんが、草莽崛起で立ち上がって、横串的に連帯していくことが運動論として大切になる。いずれ、そのためのプラットフォームの必要性が高まる予感もする。
また、最初は、教育や人材育成からスタートするのであろうが、やがて社会運動に発展することも期待される。

6.さて、中国だが、(1)既にGDPの半分以上をサービス業が占めるに至っており、産業構造が急速に変化、先進国化が進んでいる。(したがって、社会の意識は今後大きく変化していくであろう。)注)補筆した。
(2)一帯一路は、中国による経済圏下の国、民族の「囲み込み」の側面を持つことは言うまでもないが、他方で、いわゆるグローバル化の側面を持つ。グローバル化が進めば、反作用も生じ、中国が世界のロジック、倫理、価値観の影響を受ける側面も生じるので、中国による一方的な囲み込みは相当困難であろう。

7.従って、日本が時代にふさわしい新しいソフトパワーを確立し、それを世界水準の論理で横展開していければ、21世紀に「小さくても大きな存在感」を示すことは可能だという、希望と期待のメッセージをお伝えして私のコメントとさせていただく。

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┃▼┃(3)学校の現場から:全国で初めて。駒込学園における公立・私立
学校長のコラボによる「未来型 中高一貫教育シンポジウム」

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このコーナーでは毎号、グローバル化が遅れている日本の学校特有の問題をとりあげてきた。今回はよい例をご紹介したい。

「都立・私立という学校の枠組みをこえて、日本の子ども達が幸せに生きていくには、どのような教育が必要か」を語る『未来型 中高一貫教育シンポジウム』が、2017年12月3日、東京、文京区にある駒込学園中学高等学校で開催された。
都立を代表するのは、白鴎高校の善本久子校長、私立の代表は駒込学園高校の河合孝允校長、それぞれの講演の後、森上教育研究所の特任研究員、若泉敏氏をコーディネーターとして鼎談が行われた。目的は保護者たちに目前に迫る教育の大転換を理解して、適切な学校を選んでもらうこと。

誰がシンポジウムの開会のあいさつをしたか? ヒントは未来型シンポジウム。と言ってもわからないだろうが、IBMのワトソンを頭脳に持つロボット生徒のPepper二人でした。
善本先生は、文科省の「どのように社会、世界と関われるかという資質・能力」という新しいガイドラインのもと、“私が育てたい生徒像は、自己のアイデンティティーを確立し、ダイバーシティ(多様性)尊重を基盤に、国際的な「競争」と「協働」の両方ができるリーダー”であると強調。私は、この日の「産経新聞」朝刊で大島論説委員が「ニッポン人は口とは裏腹に多様性がキライなのではないですか、と世界から問われるのではないか」と書かれているのに賛同したことを思い出し、口だけでもいいから学校でもっとダイバーシティの本当の意味を強調してほしいと思った。先生はまた、都立中高一貫校の特色の1つは、「入試は学力検査ではなく適性検査」だと考える点であり、新しい教育の中身と重なっていると言われたのが印象に残った。知らなかった。
白鴎の取り組みには地域探究から「上野・浅草学」と深まり、リオのオリンピックに参加した時には「白鴎」と書いた大きなちょうちんをブラジルの生徒たちにギフトとして持参、太鼓のデモンストレーションをおこなったという。すばらしい学校だ。
河合先生は40分そこそこの時間内で、米国と日本の教育の変遷と比較をコンピューターの頭脳の進化や生徒の学力、産業の変化で捉え、駒込学園が最先端のグローバル教育や建学の精神を現代に投影する教育を実施していると紹介。
これが全部理解できる保護者が何人いただろうか?
教育評論家の若泉氏は大学入試の改革のキーポイントを解説。彼のプレゼンでは、学ぶ意欲があればPCやスマホを使ったオンライン学習が可能だと、7つのオンラインプログラムをリストアップされたところが大変役に立った。ちょうど今、関心があるテーマだ。
教育の最前線に身を置いているつもりでも、教育の現場はどんどん変化している。拡大鏡を使っても読めない配布資料も何ページかあったが、すべてのセッションに配布資料が用意されていて、とても勉強になる2時間だった。

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┃▼┃(4)ご意見・ご感想

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現在、認定講師の勉強をしている教員です。
学校関係者はとにかく自分のメインの業務の他にも、雑務の仕事を多く抱えており多忙なスケジュールをこなしています。一般企業での営業マンは会社にもりますが、 事務方のサポートが受けられる場合も多く営業に専念できるため、雑務に追われて本業が疎かになることはあり得ません。
学校の教師にもそう言った雑務の仕事を代行してくれるスタッフが必要だと思うのは、甘いでしょうか。 松浦 隆

●ご意見・ご感想をお聞かせください。
gmp@global-kyoiku.net

●勉強会のご案内(2017年12月~2018年4月)敬称略

▽12月19日(火) No.11
[講師]上之門捷二氏 (株)スキルパートナー 代表)
[タイトル]人類史における三戦について:世論戦、心理戦、法律戦、
上之門捷二氏著『三戦について』参照

▽2018年1月17日(水) No.1
[講師]伊藤紘一氏 ((一社)日本シニア起業支援機構 理事)
[タイトル]いまこそ、“哲学”から世界を観よう!
参考図書:岡本裕一朗『いま世界の哲学者が考えていること』(ダイア
モンド社)

▽2月14日(水)No.2
[講師] 佐藤行雄氏 ((公財)日本国際問題研究所副会長)
[タイトル]差し掛けられた傘 米国の核抑止力と日本の安全保障
時事通信社刊、佐藤氏の同題の本(2017)を読んでから出席するのが
のぞましい

▽3月14日(水)No.3
[講師]伊藤裕康氏 ((株)富士通研究所 R&D戦略本部 IPR戦略室)
[タイトル]400年続く欧米グローバリズムの正体とPower be with me
症候群

▽4月20日(金)
[講師]塚本 弘氏 (日本貿易振興機構(JETRO)顧問)
[タイトル] 世界の中の日本 特に中国とどう付き合うべきか

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渥美育子オフィシャルメールマガジン
「和のこころが世界を照らすグローバルマインドプロジェクト」

●発行者:一般社団法人 グローバル教育研究所

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