2018年5月5日
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┃■┃■┃ 渥美育子オフィシャルメールマガジン  No.16  ┃■┃■┃

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4月27日、朝鮮半島で第3回南北首脳会談がおこなわれ、「板門店宣言」が交わされました。しかし私たちの気持ちは晴れません。融和ムードのおぜん立てや平和という言葉の繰り返しだけで、ひどい人権侵害やせっせと製造した様々な大量殺戮兵器はまるで存在しないかのようでした。万一、ほんとうに朝鮮半島が非核化されるとしても、半島は完全に赤化されるでしょう。
それよりも、米国が中国との国交樹立いらい40年近く続けてきた対中政策を180度転換させたことのほうが評価できます。2015年春、米国の中国専門軍事評論家マイケル・ピルズベリーが『100年のマラソン』を出版して中国の密かな野望を暴き、米国は中国にだまされたと爆弾宣言をしてから3年。米国の知性がやっと国策として正しい判断をくだすようになったのです。

米国ではばかげたことも大いに起きるのですが、米国の政治家たちは間違ったとはっきりわかったら、「米国の政策は間違っていた」とか「私は間違ったことをした」とか公にいさぎよく認める点が、好感が持てます。一方日本の政治家や官僚ははっきり嘘だと誰にもわかるのに公に否定するのが常です。だから、野党がうそを暴こうとして時間がかかる。日本人の竹を割ったような正直さはどこへ行ってしまったのでしょうか?

今月は、もやもやしていることをハッキリさせるため、
(1)本末転倒とは、どういうことか、を因果関係の乱れと一緒にときあかし、
(2)日本の連続不祥事の根底にある、“いい加減な点検”について考えたい
と思います。

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┃▼┃(1)本末転倒とは、どういうことか?

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「えっ、それって逆じゃない?」と思うことがよくある。因果関係のみだれとあわさると、他の人はおかしいと思わないの、それとも思っていても無視しているの、と脳が不毛な自問自答をはじめてしまう。
■「個人情報保護」、というルールがそうだ。誰から保護するのか?
不当に利用して詐欺まがいのことをするとか、”悪い奴”から保護するのが本来の目的なのに大して意味もないアンケートの回答を講師に送るのにロックをかけてパスワードをあとで送ってくるとか、日本人の低い生産性がますます低くなるのに気づかないだろうか?
一方、この半年間で「機密」と書かれたものを含む186の日本企業の文書が中国の検索サービス大手、百度(バイドウ)が運営する文書共有サイトに掲載されたという。これこそ、ただの平和ボケでは済まされない。
参加者リストも講師に渡さないほど、正常な仕事を妨げるところにルールをあてはめ、他方国や企業の機密は中国のサイトに掲載してしまう。本末転倒もここまでくると原因と対策を考えなくてはならない。
私は現在、世界と日本に何が起きているかを教えない中学・高等学校の教育が問題だと思う。だから世界全体としっかり向き合うことを基本姿勢とする「グローバル教育」に切り替える必要があるのだ。しかし、中学・高等学校の教育をどう変えればこんなバカげた本末転倒を防げるかと、因果関係で捉える教員はいるのだろうか?

■つぎに重要度は低いかもしれないけれど、政治家と週刊誌の話。
「週刊誌は(低俗で、信頼できないから)読まないことにしている」とは多くの政治家の言葉。彼らはスキャンダルを暴露されて以来、週刊誌嫌いになっただけなのだ。しかし蔭では熟読しているので、うその上塗りである。彼らは低俗なものは読まないほど、道義的な人間なのだろうか?
私は帰国以来、主要新聞2紙と「週刊新潮」、「週刊文春」を購読している。毎日世界のニュースをスクラップブックにしているが、新聞と月刊誌、書籍、ニュースレターなどをチェックしていても見落とす課題や事件について、週刊誌に教えてもらうことがある。「週刊新潮」は櫻井よしこ氏の<日本ルネサンス>を読むだけでも価値がある。
しかし、週刊誌にはもっとほかの役割がある。米国時代にもタブロイドといわれる“ナショナル・エンクワイヤラー”を購読し、米語スラングや中卒でもわかる簡潔な英語表現を学んでいたが、そのほかの役割があるといつも思っていた。それは、うそつき権力者のうそを暴き、被害者の正しさを証明することである。
ある存在を自分より一級下だとみなすことによって、自分のにせの権力、あるいは道義性を守る―――この意図的本末転倒は危険だとしか言いようがない。

■学校の経営者や先生たちが、生徒の指導で忙しく時間がない、予算がないという理由で時代の変化に合わせる教育改革を見送るのは、生徒や日本の将来を危うくする本末転倒である。いや、改革が必要なことはわかっている、という人には、27年前国連の環境サミットで各国の代表者たちに、「あなたたちの態度を変えてほしい。人間の価値は何を言うかではなく、何をするかによって決まる」と訴えた当時12歳のカナダの少女のメッセージを送りたい。これはグローバル教育プログラム<地球村への10のステップ>の第一章でみんなに見せて
いる動画にある。

■本末転倒といえば、軍拡に裏打ちされた独裁政権で世界制覇を目指す中国がその最たるケース。彼らの国家戦略は「負のグローバリズム」に他ならない。
南シナ海の人工島は平和利用だと習近平国家主席は言い放っていたが、いまや核兵器を設置したという。それだけではなく、たった5年間でオーストラリア、スリランカ、パキスタン、ジブチ、ギリシャなど「一帯一路」ぞいに重要軍事拠点となる港を獲得、さらにアフリカ、ラテンアメリカ、南太平洋、量子衛星、月へと拡張、最終的にはすべての基地を核武装させ、量子通信網で囲ってしまう計画なのだ。なぜ、そんなことが?黄文雄、石平、ケント・ギルバート各氏が明確な説明をしてくれた。中国にとってもともと世界全体が彼らの領土な
のだと。だから侵略ではなく、回復なのだと。これこそ壮大な本末転倒ではないか?

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┃▼┃(2) 日本の連続不祥事件の根底にある、“いい加減な点検”について

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日本の強さの最後の砦であった“品質神話”が崩壊してしまった。私は最近まで警告のために、企業向けセミナのパワーポイントの中に4ページにわたる「日本企業最近の制裁リスト」を載せていた。多くの著名企業が“競争法”違反で何百億円の制裁金をEUや米国、その他の地域の当局に課せられたリストである。これは日本文化に宿る「法の軽視」、つまりリーガルコードの著しい欠如による。このリストに代わって、「日本企業が世界に悪影響を及ぼした不詳事件リスト」を掲載する必要があると考えると、情けなくなる。

10年にわたる品質表示の改ざん、資格がない従業員による車の完成検査、重要な要素がチェックリストに含まれていなかったことに誰も気づかなかったなど、理由はさまざまであるが要するに検査するとはどういうことかに対する厳しさの欠如、その製品が実際に社会に出ていったらどうなるかについての想像力の欠如が原因だろう。

1970年代に米国で次世代型の研修会社を設立して間もなくのこと、私は「検査」の厳しさについてショックを受ける体験をした。フォーチュン100に入るUTC社(United Technologies Corp.)で幹部社員10数名対象にセミナを行う当日。上階で全員が待っているのに私はUTC社のビルの受け付けでチェックに引っかかってしまったのだ。セミナで見せるビデオの持ち込みを前もって登録していなかったからだ。私は日本式に「幹部セミナを行うことになっている。
彼らは待っている。」と状況を説明して「なんと米国人は融通が利かないことか」と腹を立てたが、防衛産業の代表的企業の入り口で入館者をチェックする役の人は、「ルールだ」と言って譲らなかった。自分は研修を受ける幹部とは関係ない。訪問者をチェックする仕事をするために給料をもらっている、という態度だった。

70年代にすでに“ルールの国”であった米国は、2001年9月11日の同時多発テロの衝撃でますます検査に厳しい国になっていった。そんな国で25年以上暮らし、ビジネスを行うことで私は「個として自分の心に歯どめをかける」倫理の重要性を身に着けることになった。それはプロフェッショナルが持つ倫理性である。日本に帰るたびに、日本人は馴れ合いでチェックしている、人間関係がまず重要で、点検は形だけになってしまっている、これではいつか大変なことが起きる、と日本国のセキュリティを心配するようになっていた。

こうした不祥事件は結局「コーポレートガバナンス(企業統治)」の問題だ、と言うことになる。しかし、「グローバル」とは心や意識を世界全体と連動させることだと言葉の中身を消化して理解している日本人がほとんどいないのと同様に、「コーポレートガバナンス」という人権、プロフェッショナリズム、民主主義を生んだリーガルコード文化圏で生まれた言葉を咀嚼し現場に当てはめることができる日本人はほとんどいない。「コーポレートガバナンス」とは結局、利益と倫理があわさってはじめて長期にわたる企業の価値をうみだすのだからそういう経営の仕組みつくりをしましょうということだが、こんな英語を使うとかえって本質がわからなくなる。不祥事件はどんなにすごい組織を作っても、個が確立していない社会ではなくならない。また、日本にはいつも「人間力がすべて」と叫び続ける年配の識者が大勢いるが、私はこういう人たちに冷ややかだ。彼らのいう人間力には、地中海でおぼれ死ぬ難民へのエンパシーも、極度の人権侵害をしている政治リーダーたちへ抗議する勇気も、自らの心に存在する女性や貧乏人を蔑視する気持ちへの抵抗も、含まれていないからだ。倫理性にも乏しい。

結局、いつも同じ結論になるが、日本を救うのは「倫理教育」なのだ。不祥事に歯どめをかけられるし、エスカレートするテクノロジーの発達が人類を滅亡させないように歯止めをかけるのもこれしかない。そして人為的に21世紀最強の教育としてデザインされた「グローバル教育」は倫理にしっかり裏打ちされていることを強調したい。
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┃▼┃(3)春の講演会:「宇宙から地球を見る視点の共有を!
┃ ┃    ~グローバル教育と安全保障」5月31日(木)17:30から
於 衆議院第一議員会館 大会議室

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■司会・・・石塚隆正氏((株)Global Ethics 経営研究所代表取締役社長)
■講演1・・辻 清人氏(衆議院議員)
講演2・・渥美育子((一社)グローバル教育研究所 理事長)
■コメント・田村秀男氏(「産経新聞」編集委員兼論説委員)
■地球村貢献賞授与・・北里光司郎氏
■閉会の挨拶・・二見 宣氏((一社)日本安全保障・危機管理学会理事長)
■参加費 無料(資料代として1000円 別途いただきます。)
「振込先」みずほ銀行 広尾支店 普通2066703 シヤ)グローバルキヨウイクケンキユウジヨ
先着順180名様、予約必須、(www.global-kyoiku-ken.jpから)
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┃▼┃(4)ご意見・ご感想

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●ご意見・ご感想をお聞かせください。
gmp@global-kyoiku.net

●勉強会のご案内(2018年6月~2018年9月)

▽5月 は講演会のため休みます。

▽6月14日(木)No.5
[講師] 松本徹三氏 ((株)ジャパン・リンク代表取締役社長)
[タイトル] AIが神になる日
松本氏の同題の本(SB Creative,2017)を前もってお読み
いただくのが望ましい。

▽7月18日(水) No.6
[講師] 石塚隆正氏 ((株)Global Ethics 経営研究所
代表取締役社長)
[タイトル] 論理(学)・哲学(思想)・倫理(実践)
~グローバル人財育成と日本再興戦略

▽8月 は休みます。

▽9月5日(水)No.7
[講師] 伊藤紘一氏 ((一社)日本シニア起業支援機構 理事)
[タイトル] 資本主義の次はシェアリング・エコノミーか?
次の2冊の参考図書を前もってお読みいただくのが望ましい。
(1) 岡本裕一朗著『いま世界の哲学者が考えていること』
ダイヤモンド社、2016年9月刊、第4章:「資本主義は
21世紀でも通用するのか」
(2) 岡村八州夫著『シェアリング エコノミー』
幻冬舎ルネッサンス新書 2018年3月刊

いずれも場所は、東京都港区南麻布4-5-58 フォーサイト南麻布5F
会議室。問い合わせ:global-fukabori@g-place.net

参加ご希望の方は、次のURLをクリックしてください
https://global-fukabori-members.peatix.com/

●ニュース:大阪オフィスができました。
〒541―0058 大阪市中央区南久宝寺町4-4-12 IBセンタービル3F
Tel 06-6241-1414 Fax 06-6241-1414  事務局長 浜岡康雄

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渥美育子オフィシャルメールマガジン
「和のこころが世界を照らすグローバルマインドプロジェクト」

●発行者:一般社団法人 グローバル教育研究所

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