2018年7月5日
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┃■┃■┃ 渥美育子オフィシャルメールマガジン  No.18    ┃■┃■┃

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6月12日に行われた米朝首脳会談をどう評価するかで6月は終ってしまったようです。国際情勢も人間関係のように因果関係(cause & effect relationship)で読み解くと、少しは明らかになります。トランプ大統領が共
同声明にCVID(北の完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄)を盛り込まなかったと非難されていますが、合意に達する前に会談をOKしたので、中国から入れ知恵をされたであろう北による一層強固な拒否にあって盛り込めなかったのが事実なのでしょう。

いずれにしても前々号で書きましたように朝鮮半島は赤化しますし、そのうえ拉致問題もうやむやにされるかもしれないという、日本にとっては希望のない状況です。中国が貿易戦争を仕掛けてくる米国や反中国になりそうな“一帯一路周辺国”を刺激しないようにしばらく“爪を隠したほうがいい”と(本質的解決にはなりませんが)戦略転換をしそうないまだからこそ、さらにその動きを加速させる方法を考え、実行したいと思います。
というわけで、今月は
(1) <日本方式のソフトパワー>構築と発信
(2) 平和ボケの研究(2):「東シナ海 中国掘削 半潜水型を投入」の記事から
何を読み取るか?
(3) 学校の現場から:学校はどの新聞を取っているのか?
(4) ご意見、ご感想

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┃▼┃(1)<日本方式のソフトパワー>構築と発信

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とう小平(とう=登+こざとへん)が「能ある鷹は爪隠す」を中国の戦略実践モットーとしてきたのを、習近平国家主席が2014年11月北京で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力)で180度覆した。2017年10月の第19回共産党大会では、南シナ海を中国の内海にしたことを自分の業績として誇り、中国がリードして今世紀半ばまでに人類共同体を創り上げるとまで宣言、これが世界中にニュースとして配信された。

いま、中国はトランプ大統領が仕掛ける貿易戦争と、世界制覇の中核となる「一帯一路」の計画実行が周辺国から危険視され、縮小撤退に見舞われているという2つのボディーブローを受けている。アフリカは、中国の手におちるところだと言われている。東欧のEU加盟国と加盟をめざす国16ケ国も取り込まれそうだ。だから決して楽観視はできないが、中国の強引な、利益は全部中国に行くように仕組まれた方式に人々が顔をしかめる機会が増えたいまこそ、正反対の<日本方式>を集中的に発信する機会だと言える。

では、<中国方式>に対して<日本方式>は何がちがうのか? アフリカやアジアでは、<日本方式>は“現地人の成長と利益”中心の人道的なものだという評判である。これはJICA(国際協力機構)やOECDの日本関係の方、商社、その他献身的な日本人たちのたまものであるのは間違いない。しかし、中国の巨大な経済援助、どんどん進む先端技術、スピードとが合わさった国家資本主義の国の独裁方式が力を増しているのも事実なのである。人権に対してうるさくないから<中国方式>がいいという独裁追従国も増えている。このあたりで日本は、援助の形だけでなく、日本固有の価値に根ざした強烈なソフトパワーをみんなで協力してパッケージにし、輸出・発信することをご提案したい。

■ここ10年以上、日本発世界に向けて強烈に発信、実行している日本モデルに原丈人氏の「公益資本主義」がある。文化面では日本型“三方よし”のビジネスモデルや長寿企業の精神から養分を吸い上げ、21世紀の地球環境尊重、再生医療、シェアードエコノミーを取り入れ、貧困国を助けながら日本でも政府や産業界が喜ぶ福祉と収益をパッケージにした実験を行うなど、壮大な夢の実現が進行中である。膨張する独裁国家中国やISのようなテロ国家と拡散するテロが存在しなければ、[超グローバル時代]の夢のシナリオを「公益資本主義」がもっと抵抗なく担えるだろう。
■20周年を迎える出口光先生と佐々木喜一先生による「志教育」も強烈な日本型ソフトである。人間には状況によって変わる「心」と「崇高な思い」をもつ「魂」がある。後者としっかり向き合い、一生かけて達成したいことを志とする。このソフトは出口先生が極められた「四魂の窓」という精神のテクノロジーに裏打ちされていて、日本の文明の原点に至る。
■大きな戦いもなく1万年続いたという日本の縄文時代。これを見直そうといま縄文ブームが起きている。なかでも私たちの仲間である加藤春一氏が心血を注ぐ「縄文道」には、現代社会の負の部分、生きづらさ、を解消するヒントが多くみられる。
■新渡戸稲造の「武士道」は現実のものより彼の理想を描いたものと言われるが、克己の極みである精神は日本型倫理を理解するヒントになる。
■私たちが提唱する<グローバル・アイ>運動は、究極的には宇宙から地球を見る視点を持ち、こうした日本的価値を活用してポストモダーンの時代にこれまでの人間の行動の負の部分を軌道修正しようというものである。

軍事的にも経済的にも科学技術の上でも勝つことができない日本が、こうしたソフトパワーで挑戦するのはあまりにも無謀だろうか?

と考えていたら6月29日の「日経新聞」に印インダス大学長ナゲシュ・バンダリ氏による『「一帯一路」対抗、ソフトパワーで』というエッセーが掲載された。
軍事的野心を伴わず、純粋なソフトパワーを活かした支援を高く評価し、インド工科大学や彼の大学で<日本方式>を学ぼうという機運が高まっているという。
彼は自分の主張を貫くため、この大学まで作ってしまった人らしい。さすが無抵抗主義者ガンジーを生んだ国である。

<日本方式のソフトパワー>をきちんと創っておけば、経済援助の場合のみならず、安倍首相が唱え米国が同意して動き出した「自由で開かれたインド太平洋戦略」もバックアップできるだろう。

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┃▼┃(2) 平和ボケの研究(2):「東シナ海 中国掘削 半潜水型を投入」の
記事から何を読み取るか?

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■事例2:表題の見出しの記事が、「産経新聞」6月29日の朝刊第一面にでた。
サブタイトルは「政府 ガス田開発の加速警戒」。
この見出しを見て、気にも留めない人、「あっそう、中国はいつも押してくるわね」くらいですぐ忘れてしまう人は、(全員が「産経」を見たとすると)国民の何%くらいいるのだろうか? 95年ごろ同じことが南シナ海で起きた。誰も止められないうちに中国は南シナ海に人工島を築き、今軍事化して南シナ海はほとんど中国の内海になってしまっている。同じことが東シナ海でも起きる。
日本の危機だ、と思う人は何人いるだろう。すでに東シナ海の日中中間線の中国側には14の堀削施設が作られているが、この地帯は尖閣諸島から5ないし600kmの距離だ。

私たちが[グローバル・アイ運動]の第2段階として、日本人が達成できたら正常な危機感を持ちうるだろう、と唱導しているのは後者のように“世界のメキキ”になることであり、そういう人を増やすことである。“世界の”とは“世界について”ということで、もちろん日本にどう影響があるかが最大の関心事になる。

毎日ものすごい量の情報に接したとしても、何がキーワードかわかっていたらその情報が目に飛び込んでくる。それを助けてくれるのが世界地図だ。私は地理の世界地図と文化の世界地図を居間にはっているが、21世紀は世界地図と共に生きる時代だと思う。毎日南シナ海、東シナ海、日本海をちらっとながめるだけでちがってくる。

この記事について思い起こされるのは、2016年から17年の冬にかけて、中国が東シナ海や日本海の潮の流れ、海底の地形などを熱心に調査してまわっているという記事だ。(もちろん、その時だけ調査していたわけではないだろう。)なぜそんなに調査しているのか? 潜水艦にミサイルを積んで航行するためだろうと思っていた。しかし、人工島をつくるための調査でもあったかもしれない。

南シナ海の場合、人工島が出来上がり軍事化されてから、日本のジャーナリストや国際問題評論家たちは、米国の当時のオバマ大統領が阻止しなかった、と米国の弱体化を非難した。しかし私はこの地帯が日本に石油を運ぶためにもライフラインであるはずなのに声を上げなかった政府や私たち国民の無責任さとおくびょうさも非難したい。今回、日本政府は前よりはっきりと中国の脅威について言及するようになった。しかし公海に勝手に人工島を作り軍事化するようなことに前もってNOと言い、世界に向かってその危機を訴える力を持つことこそ、[グローバル・アイ運動」の重要な点なのである。[グローバル・アイ]の目のなかにあるもの、それは中国が持たない*人間の「倫理性」にほかならない。

*註:中国は主権在党の国で党が絶対の存在。党が大学で普遍的価値について教えるのを禁じている。一方、「倫理」は個が確立していることを要求するので、中国には私たちが定義する「倫理」は存在しないと言える。

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┃▼┃(3)学校の現場から:学校はどの新聞を取っているのか?

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「うちの学校は『朝日新聞』を取っています。変えることはできません。」

地方の公立中学校の教諭が、生徒たちを世界の現実と結びつけて理解させる方法がわからないというので、東京で特別セッションを提供した時のことである。
いくつかの方法の1つとして、生徒をグループに分け、世界の地域を割り当てて新聞の切り抜きを3ケ月してもらう、そのあとほかの地域を担当する、新聞は『日経新聞』がいいのではないか、というアドバイスに対してだった。

『朝日』を取っているのは、少年の声や、理科の授業に使える資料が沢山あるからだという。“日本の男たちは世界最低の性アニマル”という汚名を国連、中国、韓国、米国、カナダ、オーストラリア、EUなど、世界中にまき散らした「慰安婦問題」。 調べて見たらなんと『朝日新聞』が発信元であった。
もとにした記事は事実ではなかった。このため国を売った新聞、ということで他のねつ造記事なども合わせて[朝日新聞 死ね」と非難されてきた新聞。この大騒ぎも知らず、生徒に『朝日新聞』だけを読ませている教諭たちは、日本はいまだに80年代の「国際理解教育]をやっている、という非難にぴったり当てはまるケースだ。

長期にわたって記事を切り抜くのだから、よほど信頼できる新聞でなければならない。ちょうど英国オックスフォード大学のシンクタンク、ロイター・ジャーナリズム研究所が国際的なメデイア調査レポート「Digital News Report 2018」
を発表した。それによると日本の新聞で読者の信頼度が高いのは
1位・・日経新聞
2位・・地方紙
3位・・読売新聞
4位・・産経新聞
5位・・毎日新聞
6位・・朝日新聞
の順、つまり 『朝日新聞』は日本の主要紙で一番信頼できない新聞であると評価されたのだ。

この教諭は地元に帰り、職員会議で『日経新聞』を取ることを提案、猛反対にあったそうである。が、『朝日』に疑問を抱いている人も半数くらいいることが分かったという。しかし提案したことで,教頭がほかの可能性を検討すると約束してくれたし、「地域の人から、いらなくなった新聞をもらえば?」と妙案を出してくれる人もあらわれ、動き出した。

『日経新聞』は中学生には早すぎる、経済に偏りすぎている、という意見ももっともだ。しかし昔の理解でラベルを張らない方がいい。 世界は変化している。『日経新聞』は『フィナンシャル・タイムズ』を買収してからグローバルになった。21世紀の特徴は経済が経済だけのことではなく、政治、軍事、外交、技術革新などとしっかり結びついて切りはなせなくなっていることだ。最初はわからなくても1年『日経新聞』に触れていれば、“門前の小僧習わぬ経を読む”ようになるだろう。ディジタルネイティブが世界市場の動きにも強くなれ
ば、希望が持てる。
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┃▼┃(4)ご意見、ご感想

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オフィシャルメールマガジン No17(2018年6月5日)拝読しました。

講演会の要旨を中心にご紹介くださり、日本の安全保障意識の希薄さへのグローバル教育からの警鐘と受け止めました。

(1)
日本の周辺は、普遍的な価値観を共有できない専制独裁国ばかりになり、いま日本が置かれた状況は、日清戦争以前とはよく言われるものの、国民の意識には挑戦に対して応戦する気概も危機感もなく、まさに平和ボケそのものです。
安倍総理以上のリーダーが必要なときに、後継のリーダー候補が不在のまま、安倍降ろしに余念のない野党やジャーナリズム。
モリカケ問題ばかりで嫌気がさしながらも、優先順位の誤った選択に抗議もできずに傍観するばかりの国民です。

(2)
明治改元150年の折り返し点である75年前後の1940年代初頭(戦時中)に生を受けた者の一人として、今日本のあるべき姿について、後進の方々にメッセージを発する責務を感じています。
日本文明論の立場からいうと、既に始まっている戦後パラダイムの終焉とともに新時代パラダイムへの転換の動きがとても鈍く感じます。
急いで、救国のリーダーを探し出し、また教育環境の整備と危機感を抱く空気を創り出さなければなりません。

(3)
要は、学校教育のみならず、国民の安全保障意識を巡る空気を変えることが喫緊の課題といえます。
「隣国を助ける国は亡びる」(マキャベリ)は、戦後の日本が演じてきたこと、万事に性善説をもって近隣諸国に対する接し方の基本にも、これを持つことが必要です。
甘いことばかりを言っていられません。
「鬼手仏心」という言葉があります。外科手術、事業経営、いかなる事柄にも適応すべきことばです。国家の経営も、邪心をもって接するものを鬼神をもって排除する論理・手法を大いに議論し、身につけなければこの国
は滅びます。(日本文明・文化研究家  飯田 汎)

●ご意見・ご感想をお聞かせください。
gmp@global-kyoiku.net

●勉強会のご案内(2018年7月~2018年12月)

▽7月18日(水) No.6
「講師」石塚隆正氏 ((株)Global Ethics 経営研究所
代表取締役社長)
「タイトル」論理(学)・哲学(思想)・倫理(実践)~グローバル
人財育成と日本再興戦略 (1)「倫理の軸―顔合わせ・心合わせ・
力合わせ」

▽8月 は休みます。

▽9月5日(水)No.7
「講師」伊藤紘一氏 ((一社)日本シニア起業支援機構 理事)
「タイトル」資本主義の次はシェアリング・エコノミーか?
次の2冊の参考図書を前もってお読みいただくのが望ましい。
(1) 岡本裕一朗著『いま世界の哲学者が考えていること』
ダイヤモンド社 2016年9月刊、第4章:「資本主義は
21世紀でも通用するのか」
(2) 田村八州夫著『シェアリング エコノミー』
幻冬舎ルネッサンス新書 2018年3月刊

▽10月26日(金) No.8
「講師」アベディン ムハンマドシャムスル氏 ((株)GREEN
シニア・ファシリテーター)
「タイトル」イスラム文化理解の最重要点

▽11月19日(月)No.9
「講師」石橋正利氏 (幸援家 (株) 総合教育研究所 代表取締役)
「タイトル」幸福学入門「幸せな人生を引き寄せる法則」

▽12月19日(水)No.10
「講師」 山田豊滋氏 (伊藤忠 終身理事)
「タイトル」ESG事業に取り組む  ~ビジネスを通じて社会貢献を

いずれも場所は、東京都港区南麻布4-5-58、フォーサイト南麻布5F
会議室。問い合わせ:global-fukabori@g-place.net

参加ご希望の方は、次のURLをクリックしてください
https://global-fukabori-members.peatix.com/

●ニュース:大阪オフィスができました。
〒541―0058 大阪市中央区南久宝寺町4-4-12 IBセンタービル3F
Tel 06-6241-1414、 Fax 06-6241-1414、 事務局長 浜岡康雄

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渥美育子オフィシャルメールマガジン
「和のこころが世界を照らすグローバルマインドプロジェクト」

●発行者:一般社団法人 グローバル教育研究所

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